朝からどうも体調がすぐれず、病院へ向かう。
ネパールで背負い込んだ風邪が、本格的になってきたようだ。
帰り道、今回始めてのスコールに出くわす。
雨宿りがてら一軒の屋台に腰を下ろし遅い昼食をとっていると、
突然隣のテーブルの男が弾かれたように暴れだす。
食べ終わった皿を、そばにあったハスの花が浮かぶ水瓶につっこみ、
ビールを飲んでいたカップを握り潰し、
テーブルをガタガタ揺すりながらわめき散らす。
直ぐ横で、まだ箸をつけたばかりの私はたまったもんじゃない。
呆然とその様子を見ていると、ずぶ濡れになった貧しい身なりの痩せた女が、
両手に風船をそれぞれひとつ持って、買えと目の前に差し出す。
女を指差して笑う少年たち、わめき続ける男。
直ぐ横をクラクションを鳴らして走り抜けるタクシー。
食欲も無くなり半分以上を残し席を立った。
屋台のオヤジと男は、たった50バーツ(約140円)のカネを払った払わないで、
今にも殴り合わんばかりの勢いで喧嘩をはじめる。
風船を持った女は裸足のまま、激しいスコールに打たれ遠ざかる。
どうってこともない見慣れたバンコクの日常だけど、
こんな日は頑張った所でいい事ないに決まってる。
体調もイマイチだし、さっさと部屋に戻って寝てしまおう。