東南アジアには、本当の名前も住所も、電話番号は愚か、
その素顔さえ中々見ることが出来ないけれど、
誰もが知っていると言うような、強力な権力を握っている人間がいた。
「峠の走り屋を自称している人間に一度走らせて見たいもんだ」
よく言えばワインディングロード、一歩間違えば谷底に転げ落ちる片道300キロの山道を、
ハイラックスサーフの四駆で2時間ちょっとで走り抜ける。
「あ、私は車には強いから酔ったりしないよ」と断った酔い止めを飲んでも、
まるで洗濯機の中にでも放り込まれたかのような、容赦ないスピードであっさりと酔う。
やっとの思いでたどり着いたのは一軒の民家。そこに彼らは居た。
「居た」といっても自分達の家であるはずもなく、
一体いつ、どこから、どんな手段でそこにやってきたのかは誰も知らないし、
その証拠も残さない、まるで幻のような人達に会う事が出来た。
今頃はそれぞれがそれぞれの方法で、目立たないように一般の人に混じり、
どこかの土地へ散っていったことでしょう。
まぁ、そんなディープな一日でした。明日の便でバンコクに戻ります。
3日前に戦闘が終わったばかりという国境沿いの川。
国からの援助目的でのドンパチだけど、そんな場所に立つと良い気分はしない。